一ノ蔵 (株) 一ノ蔵

(宮城県大崎市)

鈴木 整 社長

宮城県大崎市に本社蔵を構える「一ノ蔵」蔵元は、1973年、宮城の銘醸蔵4社がひとつになり誕生しました。以来、南部杜氏の伝統の技と心を受け継ぎながら、最新の醸造発酵技術を融合し、安定した高品質の酒造り。級別制度廃止への一石を投じた無鑑査シリーズを始め、低アルコール酒「ひめぜん」、発泡清酒「すず音」など、日本酒のあり方を問う気品ある姿勢が、数々の銘酒を生み出してきました。

10年をふりかえって

(株)一ノ蔵 鈴木整 社長

東日本大震災から10年。今年も全国の日本名門酒会加盟店様のご協力を頂戴し、10度目となります『特別純米原酒3・11未来へつなぐバトン』の出荷をさせていただきました。

心の支えとなった全国各地、全世界からの応援メッセージ

10年前のあの日、激しい揺れと巨大津波による未曾有の災害に見舞われた絶望の中、全国各地、全世界から多くの応援メッセージをいただき、心の支えとさせていただきました。その一つ、遠く九州の加盟店様から震災三日後にいただいたメールには「ご無事で安心しました、酒屋として被災酒蔵復興に尽力します。一軒ではどうしようもなく微力でも、力を合わせればきっと達成できると信じています」と書かれており、その後、桜の花が咲いた頃からでしたでしょうか、同じ思いを抱かれた多くの皆様から「東北の日本酒」への絶大なる応援をいただき、我々被災地の酒蔵は物心ともに立ち直りました。あらためて、心より感謝と御礼を申し上げます。

10度目の「ご恩送り」 未来を担う子ども達へ

この御恩に報いるに、まずはひたすらに良い酒を造ることと胸に刻み、以来、蔵人一同、日々の酒造りに励んでおります。また、いただきました東北被災地へのお心を「バトン」に見立て、被災地子ども達への支援基金へお届けさせていただいており、今年10度目の「ご恩送り」が叶います。

主な支援先であります宮城県女川町の「コラボスクール」では、コロナ下での全国一斉休校の際、地元の女川小中学校における完全リモート授業実現のサポートを行い、公立小中学校としては県下唯一の実施をすることが出来ました。

新型コロナウイルス蔓延の中で迎える震災10年ではございますが、そのような中でも、皆様にいただいたご支援の下、被災地では着実に子ども達が成長し、つまり本当の復興へ向けて未来を担う、志高き若者たちが巣立ちつつありますことをご報告させていただき、この10年の御礼と、あらたなる10年の決意とさせていただきます。引き続き、倍旧のご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

2021.02