東日本大震災から10年
日本名門酒会本部 飯田永介
2021年2月13日夜遅く、福島沖で大きな地震が発生し、福島、宮城両県で最大震度6強を観測しました。東日本大震災から10年というこの時期の地震に、東北の人達の多くは当時の記憶が蘇ったのではないでしょうか。その恐怖、緊張感は想像も及びません。被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
10年前の2011年3月11日、東日本大震災が発生し、東北・関東地方の広範囲に甚大な被害を及ぼしました。被災地の復興は着実に一歩ずつ進んでいるものの、その道程は遠く、継続的な支援が必要です。
しかし今、震災の記憶の風化が懸念されています。報道機関が行った被災地域の首長へのアンケート調査では、地域の復旧・復興が完了したとの答えは2割に届かず、8割が風化を懸念、という結果も出ています。
"知る" ことで "忘れない" 復興を見守り続ける
日本名門酒会は改めて被災地と向き合いたいと考えています。日本名門酒会の酒蔵・食品メーカー・酒販店が当時、どのような壊滅的な被害を受け、どのように復旧・復興に努め、今に至っているのか、改めて "知って" 欲しいと思っています。
永い歳月の中で被災地への関心が薄まるのは仕方のないことかもしれません。ただ、被災地を "知る"、その姿勢が被災地を "忘れない" ことにつながっていきます。私達にできることは「忘れない努力」をつづけることだけです。
流通は「売る」ことが支援です。日本酒も食品も、東北の優れた商品を紹介することで復興の歩みを伝えていく。被災地に思いをはせ、復興の道程を見守りつづける。商いを通じて「忘れない」「見守りつづける」というメッセージを発信するのは私達の役割だと考えています。
買って、食べて飲んで、笑顔になる
今回、被災した酒蔵や食品メーカーを代表して6社に、震災から今日に至るまでの歩みをご寄稿いただきました。ぜひご一読いただき、ご紹介できなかった他の東北のメーカーも含め、その商品を店頭で手におとりください。
困難の中でも歩みを止めず本物の美味しさを作り続けてきたメーカーの姿勢は、コロナ禍で苦しむ私達に勇気すら与えてくれます。その食品やお酒の美味しさは私達を笑顔にしてくれます。そして巡り巡って被災地を笑顔にしてくれるはずです。
東北の復興を心から祈ります。東北の復興なしに、日本の復興はありません。
2021.02