日本名門酒会 蔵元紹介

蔵の概要

環境

環境

西条の井戸水の結晶。細部まで美しい結晶が見えることはとても稀。

広島県のほぼ中央部、江戸時代に旧山陽道の宿場町として栄えた東広島市の西条は、銘醸地として知られる街です。車で30分のところには広島杜氏の故郷「安芸津」があり、毎年10月に行われる「西条 酒まつり」は25万人を集める大イベントになっています。西条駅の南側には今なお10軒の酒蔵が軒を連ね、その赤レンガの煙突と白壁の美しい街並みの一角に蔵元があります。瀬戸内海沿岸から25kmほど内陸で標高250mにあるだめ、比較的冷涼な気候で空気は澄み、中国山地からの適度なミネラル分を含んだ水が街中に湧き、酒造りには適した環境となっています。現在、水源となる森林整備に地元酒蔵が中心となって活動しているほか、広島県北部や市内造賀地区での《山田錦》栽培に、行政、JA、農家、酒蔵が一体となって取り組むなど、街をあげての酒造環境整備も進んでいます。


歴史

歴史

重森三玲作庭の「壽延庭」。「寒庭に白砂しきつめ酒づくり」との山口誓子の句碑が立ちます。

西条の酒造りは延宝年間(1670年頃)に始まったといわれますが、明治27年(1894年)に山陽鉄道が開通し販路が拡大してから、本格的に全国的にも有数の銘譲地に成長しました。蔵元はもともと米穀商を営んでおり、明治42年(1910年)頃より初代・前垣寿一氏が個人で日本酒醸造を始め、大正元年(1912年)に「前垣酒造場」として創業。酒銘は地名の「賀茂」と仕込み水に使った蔵元所有の山林にある山陽道の名水「茗荷清水」から「賀茂泉」と名付けられました。2代目・前垣壽三氏のとき、戦中・戦後の混乱期に失われた日本酒本来の姿を求め、米・米麹だけで仕込む純米酒造りに取り組み、6年の試行錯誤の末、昭和46年(1971年)に『純米醸造 本仕込賀茂泉』を発売。以来、全国15の蔵とともに「純粋日本酒協会」を設立するなど、純米酒醸造のパイオニアとして、その啓蒙と普及に努めています。


造り

造り

延寿藏と煙突に朝の蒸気

純米酒を中心に、米の旨みを充分引き出すよう心がけています。バランスのとれた酒造りを行うため、すべての醪が低温で発酵できるように、独自の温度管理システムも導入。広島杜氏による伝統的な三段仕込みを忠実に守った造りが基本です。仕込み水には西条北にある龍王山から蔵の井戸に湧く中硬水を使用。原料米は広島県産の《広島八反》《山田錦》《千本錦》《中生新千本》などを使用し、特に《山田錦》は地元農家と協力して産地の育成を図っています。一般的な活性炭素を使用した濾過は行わず、米の旨みと日本酒本来の美しい山吹色を大切にしています。


味わい&合う料理

食

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米の旨味が活きた味わい深い酒となっています。全体的に濃醇芳香を原則としますが、濃い中にもすっきりとした味わいと喉ごしの良さを追求します。

蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん

広島県は瀬戸内海で獲れる海の幸と山葵や松茸に代表される大地の恵が豊富です。

新鮮な瀬戸内の小魚や白身の刺身

凝縮された旨味のある牡蠣

安芸津の丸赤じゃがいも

秋の味覚の王者・松茸