お酒の歳時記
日本酒レボリューション
 ◆貴醸酒◆ 美味しさの秘密 
▼酒で酒を仕込んだお酒
▼貴腐ワインと同じ甘み成分
▼長期熟成による深く複雑な風味
▼ヤマタノオロチを酔わせた「ヤシオリノサケ」
▼平安貴族も愛飲した醴酒
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◆おいしさの秘密 その1
酒で酒を仕込んだお酒
貴醸酒は酒で酒を仕込むというユニークな方法で造られます。通常の清酒は、仕込みの際、麹・掛米・水を3回にわけて投入していきますが、この最後の仕込み「留(トメ)」の際、水のかわりに清酒を用います。

ちなみに、酒で酒を仕込む製法を古くは「(しおり)方式」、段仕込みを「酘(とう)方式」呼び、現在の貴醸酒は、この2つの方法をミックスして造られています。

◆おいしさの秘密 その2
貴腐ワインと同じ甘み成分
貴醸酒の甘みは、貴腐ワインと比較されます。というのも、ふつうお酒の甘みの成分といえば、ぶどう糖ですが、貴醸酒の甘み成分には、貴腐ワインと同じグリセリンが含まれています。

だからその甘みは、ビロードのように濃密で上品。大人のリッチな甘さなのです。

◆おいしさの秘密 その3
長期熟成による深く複雑な風味
貴醸酒は、長期熟成させておいしくなるお酒。今回ご紹介する貴醸酒では、8年以上もじっくり熟成させて造られています。

酒で酒を仕込む貴醸酒は、仕込んだ直後でも、すでに6〜8度もアルコール度数があり、そのため酵母の働きが抑えられ、発酵はゆるやかに進みます。麹の働きが先行するため、麹に由来する成分がたくさん含まれることになります。

この麹由来の成分が、熟成させることで、深く複雑な味を構成するのです。まろやかにつややかに、深みと複雑さを増した極上の味わいをお楽しみいただけます。

◆おいしさの秘密 その4
ヤマタノオロチを酔わせた「ヤシオリノサケ」
酒で酒を仕込むーーこの製法は古くからあり、現在のような段仕込みが定着する以前に、アルコール度数の高い、濃い酒を造るのに用いられていました。

たとえば出雲神話に出てくるヤマトタケルノミコトのヤマタノオロチ退治伝説。このときオロチを酔わせるため大瓶に酒を用意しますが、ここで造られた酒が「ヤシオリノサケ」。『古事記』では「八塩折之酒」、『日本書記』では「八酒」と表記され「何回も繰り返し仕込んだ濃い酒」を意味します。

◆おいしさの秘密 その5
平安貴族も愛飲した醴酒
平安初期に書かれた『延喜式』や『令集解』は、宮廷生活の細目やしきたりを記録したものですが、そこには貴醸酒のご先祖様も登場しています。

当時、宮中には「造酒司(みきのつかさ)」という役職が置かれ、「酒戸(さかべ)」たちが宮中で飲まれるお酒を醸していました。その数13種類。この中にある「御酒(ごしゅ)」と「醴酒(れいしゅ)」が、酒で酒を仕込むシオリ方式で造られたものです。

いずれも甘口で、とくに「甘酒」を意味する「醴酒」はトロリとした超甘口。夏場に氷を浮かべて、そのリッチな甘さを平安貴族も楽しんでいたようです。

その後、こうしたシオリ方式による酒造りは戦国時代に入り廃れてしまいましたが、1970年代に、国税庁醸造試験場で復活。今の貴醸酒の醸造法が開発されました。

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