蔵の概要
わかたけ
(株)大村屋酒造場
環境
大井川対岸の茶畑より島田市街地を望む。名水に恵まれた静岡は、茶どころ・酒どころ。
南アルプスを源とし本州の中央を流れる大井川は、江戸の頃には架橋も渡船も禁止され、「越すに越されぬ」とうたわれ東海道最大の難所として名を馳せました。その東岸にある島田市は、かつては島田宿と呼ばれる宿場町で、雨で川が増水するたびに足止めされた旅人たちで、江戸の繁華街ほどの賑わいを見せたといいます。市内には当時の名残りを伝える蓬莱橋や川越遺跡等の名所が散在。真冬でも比較的温暖な気候で、大井川対岸には茶畑がのどかに広がります。蔵は、島田駅前の繁華街中心に位置しながらも、大井川の清冽な伏流水に恵まれた環境で酒造り。この街に唯一残る造り酒屋として地元の人々に愛されています。
歴史
毎年、七月七日に酒蔵を会場に開かれる「七夕酒蔵コンサート」。400名近くが集まる。
蔵の創業は天保3年(1832年)。大井川の川止めで足止めされた舌の肥えた江戸からの旅人たちを慰める島田宿の酒として誕生しました。初代・重兵衛が創業し、現在の当主は6代目。最盛期には7軒あった造り酒屋も、昭和45年(1970年)頃には次々と蔵をたたみ、蔵元も廃業の危機に。そんなとき地元の異業種交流会「若竹会」の応援で、かつて島田宿で一世を風靡したと古文書に伝わる酒を「若竹鬼ころし」として復活したところ、キレのよい大辛口の旨酒として大評判に。その後「おんな泣かせ」を世に出し、海外での評価も高めました。この復活劇には、島田と日本酒をこよなく愛し酒造りにすべてを捧げた静岡を代表する醸造家・5代目・松永始郎氏の存在があります。蔵では支えてくれた人々への恩返しの意味も込めて「七夕酒蔵コンサート」や「お米とお酒の学校」「島田の食材と地酒を楽しむ会」を開催。地域とともに歩み、島田に根ざした地酒蔵としての姿勢を貫いています。
造り
最新の精米機
常に地酒としての個性輝く酒が目標。仕込み水には南アルプスを源とする豊富で清らかな大井川の伏流水を用い、原料米は《山田錦》を始めとする各地の酒造好適米を厳選使用。原料処理に力を入れ、平成17酒造年度からは最新の精米機を導入し、自家精米をしています。また「麹は手をいれて手間をかけ、五感で感じて造る酒を」と、麹造りにはレギュラー酒から大吟醸酒まですべて10kg盛の麹箱を使用。静岡型の麹を造るため、長いものでは72時間かけて製麹します。温暖な気候のため冷却には特に気を使い、仕込みタンクはすべて冷蔵庫内に設置し、夏期の貯蔵も冷蔵管理、掛け米も蒸したあとに予定温度まで冷ますのに放冷機を通し、冷凍室で冷却してから使用します。静岡酵母の持つ上品で落ち着きのある含み香と、味に深みを充分に備えたボディのしっかりした食中酒を目指し酒造りをしています。
味わい&合う料理
やまめの燻製
静岡酵母の持つ上品で落ち着きのある香りも心地よく、 キレよくかつ幅と深味も充分な味わい。しっかりしたボディで、食中酒にふさわしい味わいです。
蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん
やまめの燻製 島田市の山間部伊久美地区、その中でもさらに上流の民家が一軒もない清流で育ったやまめを、桜のチップでじっくりスモークした「やまめの燻製」がおすすめです。この地区で村おこしの活動の中心となって活躍している清水貢さんが、心を込めて育て上げています。燻した独特の香りと滋味深い味わいに杯がさらに進みます。特に「若竹鬼ころし純米酒」「若竹鬼ころし本醸造生酒」の深いコク、力強さに非常に相性が良く、両者の高めあったうまみが口の中でじわぁっと広がります。
周辺情報
蓬莱橋 大井川に架かる全長897.4メートル通行幅2.7メートルの木造歩道橋。平成9年12月30日「世界一の長さを誇る木造歩道橋」としてギネスに認定登録。
島田市ばらの丘公園 世界各地を原産とする約350種類8,700株のばらが植えられ、温室では年間を通して楽しむことができるため、ドラマのロケなどにも使われる。
島田宿大井川川越遺跡 江戸時代の川越しの面影を残す国指定史跡。
お茶の郷博物館 茶畑が広がる牧之原にある世界の茶の博物館。