蔵の概要
そうげん
宗玄酒造(株)
環境
悲恋物語の伝説が残る恋路海岸は、恋人たちのデートスポットとしても賑わいます。ここから歩いてすぐのところに宗玄蔵元があります。
(写真/石川県観光連盟)
石川県能登半島の先端に位置する珠洲市は、農林業と漁業の街。波打ち際まで丘陵がせまる地形は「恋路海岸」や「見附島(別名、軍艦島)」などの変化に富んだ美しい景観を生み出しました。その海岸沿いに点在する集落の一角に、富山湾の穏やかな海を臨んで建つ「宗玄」の蔵元があります。小さな漁港には日本海の新鮮な海の幸があがり、山に入れば山菜や松茸など山の幸がとれ、粘土質で水はけの良い段々田には良質な米が実り、食環境も豊か。能登はその地理的な要因から独特の食習慣を育み、魚醤いしりを使った伝統料理や、塩田を利用した製塩も今なお続いています。酒も古くは「能登三年酒」という古酒が飲まれていたようです。
歴史
北鉄奥能登バスの停留所「宗玄」。家名が地名に転じた。
能登は冬場の生活の厳しさから、酒造りの専門技術集団「能登杜氏」を生みました。その故郷がこの珠洲市です。天正5年(1577年)上杉謙信に七尾城を追われた畠山左衛門尉宗元がこの地に逃れて名を宗玄と改め、一戸を構えました。その場所が現在の蔵元の建つ場所で、いつしか地名自体も宗玄と呼ばれるようになりました。分家した次男の血を引く4代目・忠五郎により明和5年(1768年)に酒造業を始めたのが「宗玄」の始まりです。地元珠洲では宗玄家の名をとって「宗玄酒」と呼ばれ親しまれてきました。平成10年(1998年)に、従来の明和蔵に隣接して最新の設備を備えた平成蔵を新設し、さらに精度を高めた酒造りに邁進しています。
造り
----
能登杜氏出身地だけあって、その流儀をいかんなく発揮した酒造り。仕込み水には桧や杉の森が美しい黒峰山脈から流れる伏流水を使用。酒造りには最適な軟水で「宗玄」ならではのまるみのある味をつくるベースとなります。地元産の《五百万石》《のとひかり》やもち米を使用した本醸造タイプは、昔ながらの濃醇で酒らしい旨口酒。また、兵庫県産《山田錦》を使用した本醸造・純米・吟醸タイプは、お米本来の旨みを充分に引き出し、豊かな香りで口当たりまろやかでキレのよい、香味バランスのとれた味わいに仕上げています。
味わい&合う料理
400年の歴史を持つ揚げ浜塩田。
(写真/石川県観光連盟)
「宗玄」の味わいは濃醇旨口タイプです。 濃厚な旨味をもちながら、繊細でまろやかな口当たりとすっきりキレる後味が魅力。
蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん
ウドの宗玄粕合え
ウドの皮を取りお湯に少し塩を入れて湯がく。粕(もちろん宗玄粕を使用)は、砂糖・塩・少量の宗玄酒で味付けをし、ウドと合える。最高の好適米、山田錦の旨味を引出す本格派の純米酒の肴として最高の逸品です。