蔵の概要
こうろ
(株)熊本県酒造研究所
環境
市内大通りから熊本城を臨む
九州のほぼ中央に位置する熊本市は、江戸時代に肥後藩細川氏54万石の城下町として発展し、現在は国の出先機関が置かれるなど、南九州地域の中心的役割を果たしています。市の中心には平成19年に築城400年を迎えた熊本城が聳え、その傍、徒歩10分のところに「香露」蔵元はあります。西は天草の松島的景観が広がる有明海に面し、北東には雄大な景色が広がる阿蘇外輪山が聳えるなど、自然環境も起伏に富んでいます。世界最大級のカルデラ火山・阿蘇山に降り注いだ雨は約20年かけて、豊富な地下水となって平野部に達し、市民の喉を潤します。また、有明海に面しているものの内陸性の気候で夏冬の寒暖の差が大きく、冬場には氷点下まで気温が下がることもあるなど、酒造りには適した土地柄です。
歴史
蔵の敷地内に建てられた“酒の神様”
野白金一先生の胸像
「香露」はもともと県内の酒造技術の向上のために設立された "研究所" で、現在の蔵は大正11年に建てられたものです。明治42年(1909年)、熊本酒の主だった赤酒(灰持酒)から清酒への切り替えの必要性が高まり、県内生産者が力を合わせて酒造研究所を設立したのが始まりです。大正7年(1918年)に株式会社とし、翌年、のちに社長となり "酒の神様" と称されることになる野白金一氏を技師長として迎えました。以降、酒の品質はめざましく向上し、各種品評会や鑑評会で全国一位もたびたび獲得。麹室の「野白式天窓」の考案や「野白式吟醸造り」を築きあげ、のちに協会9号酵母として頒布されることになる吟醸用「熊本酵母」の開発など、全国の高級酒ブームに大きく貢献しました。
造り
蒸し上がった米を取り出すため、大甑を掘る。
阿蘇源流の清冽な伏流水を仕込水に使い、米は良質の肥後産米を主に、大吟醸酒には全量兵庫県産の山田錦を使用しています。蔵内平均精米歩合は63.5%、温度管理を重点的に実施し、もろみや製品となってからも品質維持に努めています。吟醸造りでは二重桶式の仕込方法や上槽時の首吊り法(袋吊り法)などの創意工夫を数多くこらし、当蔵開発で全国の蔵元で使用されている「熊本酵母」を使用した香りの高い高品質の酒を造っています。
味わい&合う料理
全製品に熊本酵母を使用し、飲み飽きせず、豊かな芳香とさわやかな味わいが一定しているのが特徴です。 特に大吟醸酒は華やかな香りとまろやかな風味を醸し出しています。
蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん
馬刺し、辛子れんこん、その他、熊本には豊富な農産物や魚貝類を生かした料理があります。香露は香り豊かでしっかりした味わいなのでどんな料理にも合いますが、とくに豆腐料理など淡白な料理がおすすめです。