第3回
8月
ちょうきゅう きもとじゅんまいしゅ
出羽ノ雪 生酛純米酒
[山形県鶴岡市]
甘くてジューシー、爽やかな飲み口の生酛造りの純米酒
1.8コース 720mlコース
生貯蔵酒
- 【予定値】
- 原料米/出羽きらり(山形県)・美山錦(山形県)
- 精米歩合/掛米65%・麹米60%
- 仕込水/月山深層シリカ天然水
- 酒母/生酛
- 酵母/きょうかい601号
- アルコール度/15度
- 日本酒度/-5.0
- 酸度/2.0
- アミノ酸度/1.2
- 杜氏/渡會俊仁(蔵元杜氏)
蔵元外観
蔵元について 数々の銘酒がある山形県の中でも、鶴岡市・大山地区は良質な水に恵まれた米どころ。近年、クラゲの展示で人気となった加茂水族館がある加茂港は、江戸時代には北前船の寄港地として大いに栄えた一方で、庄内領や幕府の天領など目まぐるしく領主が代わりました。江戸後期の天保13年(1842年)には大山地区には37軒の酒蔵があり、年間の出荷量は一升瓶換算で89万本にも達し、明治時代には「東北の小灘」と称された酒造りのメッカでした。
その大山の地に1615年創業、約400年の歴史を刻む県内最古参の蔵元が「出羽ノ雪」醸造元の(株)渡會本店です。地元・庄内米にこだわり、伝統製法である生酛づくりや、仕込水に純米酒を用いる貴醸酒の製造、小さな蔵ながら自社酵母を培養するなど、新旧の技術を織り交ぜながら酒造りをしています。平成15年(2004年)に18代目蔵元・渡會俊仁氏が杜氏に、実弟・俊男氏が製麹責任者となってからは、酒質向上のためには手間暇を惜しまない手造りにこだわっています。
渡會俊二社長
蔵元が考える"爽快"なお酒とは……
ヒネ(老ね)のない香味
ここ10年で最高品質の原料米(雑味が少ないきれいな酒質になる)を使用し、山形県内はもとより、全国でも屈指の精米技術を誇る「鶴岡酒造協同組合搗精工場」にて、最新式の精米機で精米を行いました。
製麹は手間が掛かる「蓋麹」にこだわり、酵母はバナナやメロンのような穏やかな香りが特徴の「きょうかい6号酵母」の泡なしタイプをを使用しました。初めてのチャレンジとして、通常の黄麹菌とは異なる白麹菌を使って米麹を造り、柑橘系の爽快な酸味が特長のクエン酸の多い酒質を目標に、バランスを考慮した日本酒度を実現しました。また、最適なタイミングで火入を行い、一言でいえば「甘くてジューシー。それでいて盃が進むさわやかな飲み口」に仕上げました。
ラベル絵と蔵元周辺散策 クラゲ水族館
蔵元のある鶴岡市は、毎年2月に「大山新酒・酒蔵まつり」、6月には、めっけ犬伝説に由来する椙尾神社の例大祭「大山犬まつり」が開催され、日本海沿岸には湯野浜温泉、あつみ温泉、湯田川温泉、由良温泉などがあり、山際には出羽三山のひとつ羽黒山神社など、庄内地方有数の観光地です。
なかでも平成26年(2014年)に開設した鶴岡市・加茂水族館の「クラゲドリーム館」は必見。庄内浜の生き物や浜文化を伝えようと工夫を凝らし誕生しました。クラゲの展示種類は60を超え世界一を誇り、幻影的な世界を堪能できると評判です。クラゲをヒントにノーベル賞を受賞した下村 脩氏になれるかも。