同じ蔵が醸した酵母違いの純米酒の飲みくらべ
「酵母違いの純米酒の飲みくらべ」企画も3回目となりました。今回も飲みくらべを通じて、香味の"違い"の楽しさや日本酒の面白さをお届けします。
日本酒造りに欠かせない「清酒酵母」は学名をSaccharomyces cerevisiae sake(サッカロマイセス・セレビジエ・サケ)といい、アルコールをつくる働きがあります。「清酒酵母」はビール酵母やワイン酵母にはない特異な性質──低温でよく発酵し、有機酸の生成が少ないなど──を持っていますが、分類学的には、ビールやワインを造る酵母と同じ仲間です。
酵母によるアルコール発酵の反応式は、
C6H12O6(グルコース=ブドウ糖)⇒2C2H5OH(アルコール)+2CO2(二酸化炭素)
と記され、この式から読み取れるのは、グルコースからアルコールと二酸化炭素が生成されることだけです。しかし「清酒酵母」はアルコール発酵時にさまざまな香気成分や有機酸なども一緒に生産し、これが日本酒特有の風味に寄与しています。
清酒酵母が生み出す香り
生み出される香りは酵母の種類によって変わります。酵母が生成する代表的な香りとしては、カプロン酸エチル(パイナップルやリンゴのような香り)、酢酸イソアミル(バナナ、メロン、ナシのような香り)、酢酸エチル(セメダインのような香り)、最近では4MMP(マスカット、ライチ、グレープフルーツのような香り)があり、実際にはこれらの香りが混ざり合い複雑な香味をもたらします。
続々開発される清酒酵母、香味の可能性は無限大
「清酒酵母」には様々な種類があり、(公財)日本醸造協会が頒布する「きょうかい酵母」を筆頭に、大学で開発された酵母、都道府県単位で開発された酵母など、新しい酵母が盛んに開発されています。その「清酒酵母」から生み出される風味は様々、無限大と言っていいでしょう。
今回の頒布会では、酵母由来の個性がより明確に感じられる仕様で、飲みくらべでしか味わえない "違い" を楽しむことにフォーカスした純米酒をご用意。気候・仕込水・原料米が同じで、かつ同じ杜氏が醸した純米酒でありながら、異なる「清酒酵母」を使用することで、香りや味わいの多様性が生まれます。いずれも各蔵元の個性溢れる、ほかでは買えない頒布会オリジナル酒。
はっきりとした"違い"を楽しんだあとは、食事と合わせたときの面白さはもちろん、炭酸割り、ロックなどの飲み方もお楽しみいただければ幸いです。
「酒の栞」
お酒と一緒に、蔵元にまつわる物語を記した「酒の栞」をお届けします。この頒布会でしか楽しめない各蔵元の個性あふれるお酒を楽しみながら、「どんなところで、どんな人たちが、どうやって」そのお酒を生み出したのかと思いを巡らせて、お楽しみください。