日本名門酒会 蔵元紹介

蔵の概要

環境

歴史

100年以上の歴史を物語るけやき造りの貯蔵蔵

山形県の日本海に面した地域を「庄内」と呼びます。山岳信仰の中心であり修験の地・出羽三山や霊峰・鳥海山、朝日連峰に囲まれ、最上川、赤川が悠々と流れる庄内平野は日本の代表的な穀倉地帯です。江戸時代より徳川四天王の筆頭、酒井家が領する庄内藩として栄え、最近では鶴岡出身の小説家・藤沢周平の物語中に出てくる海坂藩を庄内藩に重ね合わせる人も多いかもしれません。その庄内の中心、城下町鶴岡の郊外・大山地区に蔵元はあります。大山の地は江戸時代に幕府直轄の天領となり、庄内藩の干渉を受けず、北前船の寄港地・加茂の港もあることなどから、上方の文化も流れ込むエネルギッシュな自由都市として、本格的な酒造りも興隆。享保から幕末・明治にかけては30〜40軒の酒蔵が軒を連ね、「東北の小灘」と呼ばれる銘醸地として名を馳せました。今、大山には造り酒屋が4軒残るのみとなっていますが、その一つが大山蔵元です。


歴史

歴史

大山公園を造園し町に寄贈した2代目・加藤嘉八郎有邦氏の銅像。6.6ヘクタールにも及ぶ広大な公園で、春には桜の名所であるほか、黒川能の舞台もあり、市民の憩いの場になっている。

大山の酒造りは明治期に生産高1万5千石を記録するなど最高潮を迎えますが、この上昇機運の中、明治5年に、加藤嘉八郎酒造が分家して酒造業を興します。当主・加藤家の先祖は加藤清正に連なる家系といいます。加藤清正の嫡子、加藤忠広は熊本五十三万石肥後の守でしたが、豊臣恩顧の有力大名であったがために徳川幕府によって改易に処せられ、庄内藩主酒井忠勝に預けられました。その子女が始めた造り酒屋がいくつかの分家によって引き継がれ、その末裔が加藤嘉八郎酒造というわけです。鶴岡市内には大山公園がありますが、これは2代目・加藤嘉八郎有邦氏が造園したもの。昭和8年の大恐慌のさなか、失業対策も兼ねて6.6ヘクタールの山林を切り開き8年計画で、松2,000本、桜4,600本を植樹し、町に寄贈しました。現在、春には900本のソメイヨシノが花開き、四季折々に人々が憩う場所になっています。


造り

造り

1日目の麹床

「大山」の酒造りにおいて特筆すべきことの一つは、醸造装置を独自開発したことです。継続時間および強弱・速度を自在に制御できる日本で始めての自動櫂入れ(醪攪拌)装置や、自然対流には理想的な半球底になっている発酵装置、労働条件に左右されない細やかな手入れの出来る製麹装置など。これにより酒質を安定させ、誤差の少ない精度の高い酒造りが可能となり、その精度は、この機器が他の有力蔵元にも導入されていることでもわかります。機械反復的で重労働な部分は機械に任せ、人間の感性や積み重ねた経験に頼る部分は人の手に残し、麹や醪と対話しながらリアルタイムに発酵を管理する。気品ある吟醸香、キレよく、調和して美しさを感じさせる理想の味わいを追求し、常に前進し続けています。


味わい&合う料理

食

白山だだちゃ豆。数ある"ちゃ豆" と呼ばれるものの中でも、一頭地を抜く味わい。だだちゃ豆が生まれた鶴岡白山地区の気候風土の中でしかこの味は育たない。収穫時期が短く、また鮮度が良くなければその独特の美味しさが出ないため、ご当地でしか口にできない「幻の枝豆」とも呼ばれてきました。

ほのかな吟香が漂い、すっきりと端麗な口当たりの中に、繊細な香味成分がたっぷりあるお酒です。お酒の複雑な成分が調和し、飲むほどに安心を与えてくれます。

蔵元おすすめ酒に合う地元のうまいもん

春:「孟宗汁」と『大山 特別純米酒』のぬる燗 孟宗汁は孟宗竹の筍と厚揚げを味噌と酒粕で煮たもの。味噌粕の割合は半々から始めて見て、好みにより粕の割合を上げていく。ただし、塩辛くならないように注意。

夏:だだちゃ豆とキレの良い『大山 本醸造生酒』 全国的知名度の高い鶴岡名産の枝豆で実が厚く甘みがあり香りが良い、中でも白山だだちゃは貴重品。

秋:山形名物「いも煮」と『大山 特別純米超辛口』 「いも煮」は内陸地方では牛肉と醤油味の組み合わせ、庄内地方では豚汁と味噌味の組み合わせ。いずれも里芋・コンニャク・ネギは欠かせません。

冬:寒鱈の「どんがら汁」と『大山 本醸造』の飛び切り燗 「どんがら汁」は頭・骨・内臓・身など鱈の全てをぶつ切りにして味噌で煮る郷土料理。


蔵元見学

 要予約

アクセス 電車:JR羽越本線「鶴岡駅」より、車で15分
車:山形自動車道「鶴岡IC」よりR7→R112経由
飛行機:「庄内空港」より、リムジンバス、タクシーで約30分

周辺情報


鶴岡公園の春

鶴岡公園 酒井家が庄内藩主として約250年来居城とした「鶴ヶ岡城」跡。県内随一の桜の名所でもあり、「日本桜百選」の一つ。

致道博物館 鶴岡公園の西隣にあり、酒井家の御用屋敷を博物館として公開。移築された歴史的建築物ほか、生活民具など重要有形民俗文化財8種5350点を収蔵展示。

大宝館 明治の文豪・高山樗牛や藤沢周平など、明治から昭和にかけて活躍した鶴岡出身者やゆかりのある人々の資料と業績を展示。

荘内神社 鶴ケ岡城の本丸址にあり、酒井家の忠次、家次、忠勝、忠徳が御祭神。酒井家ゆかりの宝物も展示。毎年8月には「荘内大祭」があり、江戸時代の扮装をして市内を練り歩く大名行列が行われる。

加茂水族館 北前船の寄港地であった加茂の港にある水族館。クラゲの種類が世界一『クラネタリウム』は必見。

黒川能 鶴岡地方に450年以上も受け継がれてきた伝統芸能で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

温泉 湯の浜、温海、湯田川、由良など。ちなみに山形県はすべての市町村に少なくとも一つは温泉がある。

鶴岡市 観光ガイド

山形観光情報総合サイト「やまがたへの旅」