日本名門酒会

秋の純米酒頒布会 2021『酒蔵夜ばなし』


第1回10月

つきのい じゅんまいしゅ

月の井 純米酒

[茨城県大洗町]


1800ml 720ml
1.8Lコース 720mlコース

R1BY熟成酒(タンク貯蔵)
R2BY 熟成酒(タンク貯蔵)
ブレンド

〜 神降る磯の造り唄 〜


「神磯」の鳥居

二柱の神が降り立った「神磯」の近くで醸される『月の井』

荒波が打ち寄せる茨城県大洗町は、北海道との間を往来する大型フェリーの起点の港町です。港に隣接した大型商業施設シーサイド・ステーションや国内最大級の水族館アクア・ワールド大洗などとともに人気の名所が、海を見下ろす高台に鎮座する大洗磯前いそさき神社です。

平安時代の元慶3年(879年)に完成した歴史書「日本文徳天皇実録」には、
斉衡3年(856年)のある夜に、常陸国鹿島郡の大洗磯前の塩田で働いていた村人が海に光るものを見た。その光は僧侶の姿のふたつの石となり、人の口を通じて「われは大奈母知おおなもち少比古奈命すくなひこなのみことである。昔、この国を造り終えて、東の海に去ったが、今、人々を救うために再び帰ってきた」と告げた
と記録されています。大奈母知神(大名持命・大己貴神)は大洗磯前神社に、少比古奈命(少彦名命)は、現在のひたちなか市の酒列さかつらい磯前神社に祀られました。二つの神社は、二つで一つとされています。

この大奈母知神とは、大黒様でお馴染みの大国主命のことです。出雲神話では少彦名命とペアで国造りを行ったとされています。この二柱の神は酒造りとも関係が深く、この神々を祀る各地の神社には酒造りにまつわる伝承があります。

この二柱の神が現れた場所は「神磯かみいそ」と呼ばれる、波打ち際の岩礁に鳥居が立つパワースポットです。その神磯のほど近くに『月の井』蔵元はあります。


(写真左)蔵の正面 (写真右)坂本専務
(株)月の井酒造店 慶応元年(1865年)創業

お酒について
前杜氏・菊池正悦氏の純米酒と現杜氏・石川達也氏の純米酒を絶妙にブレンド

大洗の名物料理といえばアンコウ鍋です。アンコウは淡泊な白身魚ですが、肝には濃厚な旨味があり、七つ道具と呼ばれる様々な食感の部位も楽しめます。その影響か、淡麗な日本酒が多い茨城県の中で、『月の井』は旨味のある豊醇な味わいでした。

長年、『月の井』を造り続けてきた南部杜氏・菊池正悦氏の引退を受けて、後継杜氏に就任したのが、注目の名杜氏・石川達也氏です。石川流の酒造りは、頑強な酵母を育て上げ、その強い酵母に自由に発酵させるというスタイル。鍛え上げられた酵母は、純米酒でもアルコール分が19度を超えるほど完全発酵し、日本酒度はプラス15以上の大辛口になることもあります。その味わいは熟成することで深みと滑らかさをまといます。

今回の頒布会では、前杜氏・菊池正悦杜氏の純米酒と、石川杜氏の純米酒を、石川杜氏自ら調合したスペシャル・ブレンドでお届けします。ほどよい旨味の純米酒とキリッとした辛口の純米酒の融合、二度と再現できない美味しさをお楽しみください。

  • 【分析値】
  • [原料米]山田錦(徳島県産)・出羽燦々(山形県産)
  • [精米歩合]掛米65%・麹米65%
  • [酒母]普通速醸酛
  • [酵母]きょうかい601号・きょうかい701号
  • [アルコール度]16度
  • [日本酒度]+8.0
  • [酸度]1.9
  • [アミノ酸度]1.6
  • [杜氏]石川 達也(広島杜氏)

醸造元/(株)月の井酒造店