お酒の歳時記

2023.11

樽酒ライブ 年末年始の風物詩 樽酒の店頭量り売り

樽酒のはかり売り

木枯らしが吹き始める晩秋から
賑やかな活気に包まれる年末年始まで、
各地の酒屋さんの店頭では
“樽酒のはかり売り”イベント〈樽酒ライブ〉が行われます。
杉香も清々しい樽酒を、その場で瓶詰め。
お燗にしても美味しい樽酒で、
あわただしい年の瀬にほっとするひとときを。

木枯らしが吹き始める晩秋から賑やかな活気に包まれる年末年始まで、各地の酒屋さんの店頭では“樽酒のはかり売り”イベント〈樽酒ライブ〉が行われます。杉香も清々しい樽酒を、その場で瓶詰め。お燗にしても美味しい樽酒で、あわただしい年の瀬にほっとするひとときを。

樽酒ライブとは

冬の風物詩〈樽酒ライブ〉

晩秋から年末年始にかけて、「樽酒のはかり売り」〈樽酒ライブ〉が、各地の日本名門酒会加盟の酒販店の店頭で行われます。これは杉樽からくみたての、杉の香りもすがしい樽酒を、その場で瓶詰めしてお持ち帰りいただこうというイベントです。

清々しい杉香が魅力の樽酒

その昔、杉香はお酒につきものの香りでした。というのも昭和初期まで、お酒の仕込みや貯蔵、運搬には杉材で作られた木桶や樽が使われていたからです。

日本では樽材には主に杉が用いられてきました。杉は、手軽に入手でき、加工しやすく、香気(ピネン、リモネンといった精油分)が酒に独特の風味を与え、防腐効果もあるという優れものの木。造り酒屋の軒先に吊り下げられた杉玉を見てもわかるように、お酒の神様のご神木でもあり、杉とお酒の結びつきは深いのです。

その後、仕込みや貯蔵にホーロータンクがとってかわり、瓶に詰めて運搬されるようになってから、今では樽酒を楽しめる機会はめっきり減ってしまいましたが、その懐かしい杉香がほんのり漂う樽酒を、〈樽酒ライブ〉ではお楽しみいただけます。

油っこさを流し、魚介類由来の旨味をふくらませる

「平成24年度日本醸造学会大会」で、菊正宗酒造(株)総合研究所と(独)酒類総合研究所の共同研究による樽酒が味覚に及ぼす影響が発表されています。それによると、杉樽由来の成分が含まれる樽酒は、ふつうの清酒よりもさらに、油を洗い流す力が強く口中をさっぱりさせ、また、魚介類由来の旨味をふくらませ、料理を引き立てる効果があるとのこと。うなぎとの相性の良さを考えると、頷ける結果が確認されています。この時期なら、お節や年越しそばなど、魚介出汁の効いた和食との相性の良さを、ぜひ確かめてみてください。

お燗にしてもおいしい

寒風吹き凍える季節には、お燗をつけるのも一興。40度くらいのぬる燗で飲めば、お酒がさらにまろやかに。樽香も木のぬくもりを感じさせてくれて、ほっと一息つける絶妙な風味を楽しめます。

はかり売りの楽しみ

落語でもおなじみのように、その昔、昭和の初期頃まで一般庶民は酒屋さんから〈はかり売り〉をしてもらっていました。

酒屋さんはお客さんがくると大樽から徳利にお酒を詰めて売っていたのでした。そのとき買ったお酒を家に持ち帰るために広く利用されたのが「貧乏徳利」。つまり、酒屋さんがお客さんに貸し出していた徳利です。

〈樽酒ライブ〉では、ラベルも何も張られていない素の四合瓶に詰め、お持ち帰りいただきます。趣向を凝らしたオリジナル・ラベルを用意している酒屋さんもありますが、自分でオリジナル・ラベルを張って、"マイ・酒"にしたてることも可。メッセージに凝れば粋な手土産にもなります。

酒屋さんが選んだ蔵元自慢の美味しさを

一口に樽酒といっても、樽の中の美味しさは様々にあります。すっきりすがすがしい本醸造樽酒に、やわらかな旨味広がる純米樽酒、ちょっと贅沢な純米吟醸&吟醸樽酒、しぼりたて生酒の華やかさと瑞々しさを楽しめる新酒一番樽など。

これら各蔵元自慢の樽酒の中から、酒屋さんが「これぞ」と選んだ樽酒を、四合瓶に詰めてはかり売りいたします。つまり取り扱い酒はお店によって異なり、〈樽酒ライブ〉開催店に行かないと手に入らない売り切れ御免の限定品。持ち帰ったら速やかに冷蔵庫に入れて、お早めにお召し上がりください。

また、蔵元で瓶詰めされた樽酒もありますので、樽酒の魅力に目覚めたら、こちらもどうぞ。


 
カテゴリに戻る | カテゴリの一覧に戻る