ふつう清酒は、雑菌を殺し、発酵を止め、香味を保つために「火入れ(ひいれ)」という低温殺菌が2度行われます。この「火入れ」をいっさい行わないお酒が「生酒」です。冷蔵技術が飛躍的に進化した現在、火入れを行わなくとも、低温貯蔵することでお酒の風味が悪くなるのを防げるようになったのです。
「生」のつくお酒には「生酒」「生詰め」「生貯蔵」がありますが、その違いをご説明。
・生酒
いっさいの火入れを行わないお酒です。「本生(ほんなま)」「生々(なまなま)」とも呼ばれ、フレッシュな風味が魅力的なお酒です。〈初しぼり〉や〈夏の生酒〉がこれにあたります。
・生詰め
貯蔵前に一度だけ火入れします。いったん火入れをしてタンクに貯蔵したお酒を、瓶詰め前の火入れを行わず生のまま詰めるから「生詰め」。夏の間に寝かせて熟成させ、秋口にその風味を楽しむ〈ひやおろし〉として出荷されます。〈ひやおろし〉の出荷は江戸時代から秋の風物詩でした。
・生貯蔵酒
お酒を生のまま貯蔵し、瓶詰め直前にいちどだけ火入れします。略して「生貯(なまちょ)」とも呼ばれます。
火入れのタイミングと「生」の種類
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