名門食品館 日本珍味列島

宮城県石巻市から

郷土料理&珍味


▲万石浦湾

三陸石巻で育った新鮮な牡蠣の美味しさを、何も足さず引かず、まるごと食卓に届ける「潮煮」製法

石巻市万石浦湾は、近代牡蠣養殖の拠点。ここで育った稚貝が、全国の養殖場に種牡蠣として出荷されます。親潮と黒潮がぶつかる三陸の豊かな海で育った味の濃い牡蠣の美味しさを、調味料を一切使わない漁師直伝の「潮煮」という製法でそのまま凝縮した逸品をご紹介。

製造元/末永海産(株)[宮城県石巻市]


ここがすごい!

豊かな森がつくる豊かな海で育つ万石浦湾の牡蠣

近代牡蠣養殖の拠点となった石巻市・万石浦湾

石巻市・万石浦湾は、豊かな山から栄養分を多く含んだ水が流れ込む汽水域で、鉄分やプランクトンも豊富。干満の差が激しく、稚貝の養殖に適し、牡蠣養殖の父・宮城新昌氏が全国を視察して選んだ近代牡蠣養殖拠点です。今でも、万石浦湾や牡鹿半島周辺で種付けされた牡蠣の稚貝(種牡蠣)が、日本全国のみならず、アメリカやフランスなどにも輸出され、現在世界に広がる牡蠣の70〜80%は、宮城の種牡蠣がルーツと言われています。東日本大震災の際、万石浦湾の種牡蠣はその地形の恩恵で奇跡的に全滅を免れ、脈々と命を繋いでいます。

最も美味しい時期の牡蠣を新鮮なうちに加工

万石浦湾で生まれ、三陸の海で味濃く甘味の強い牡蠣に成長

牡蠣の養殖は、8月の種付けから始まります。順調に生育した稚貝は、全国の牡蠣養殖場に種牡蠣として出荷されていきます。種牡蠣は、万石浦湾から外海に出して育てられます。他県では通常2〜3年かかるところ、汽水域でプランクトン豊富な石巻の海だと、1年で出荷できる大きさまで成長します。三陸沖は水温が低いので、身の締りが良く、味の濃い強い甘味を持つ牡蠣に育ちます。

最も美味しい春の牡蠣だけを原料に

牡蠣の旬は冬というイメージが一般的ですが、三陸の牡蠣は、3月〜5月初旬が一番美味しいと言われます。春先、山々から三陸沖に流れ出る雪解け水を吸った牡蠣は大ぶりで、白い部分も多く、末永海産(株)では、この一番美味しい時期の“生で食べても美味しい牡蠣”を原料に使います。

剥きたての新鮮な牡蠣をすぐ加工

港に水揚げされた牡蠣をすぐに殻剥きし、生で食べても充分美味しい新鮮な状態で加工していきます。震災前は、港の「牡蠣剥き場」から剥きたての牡蠣を仕入れていました。しかし、津波によって流されたり、地盤沈下の影響で浸水してしまった剥き場も多く、現在は殻付きで仕入れた牡蠣を剥くところから行なっています。震災から2年以上が経過し、徐々に剥き場も復活しています。

▲近代牡蠣養殖の拠点、万石浦湾。海水と淡水が混じり合う汽水域で、牡蠣や海苔の養殖が盛ん。

8月の種付けから約9ヵ月経った5月の稚貝。全国の牡蠣養殖場に種牡蠣として出荷されます。

牡蠣剥き作業。水揚げされたばかりの新鮮な牡蠣をすぐに殻向きし、使用します。


バックグラウンド

宮城県三陸ならではの美味しさを食卓に

三陸の海は、奥羽山脈・北上山地の豊かな森からの栄養分を豊富に含んだ水が流れ込み、また親潮と黒潮がぶつかり合い、世界でもまれに見る豊かな漁場となっています。末永海産はこの三陸の海で、先祖代々一族の多くが養殖業を生業としてきました。昭和50年に創業し、新鮮な三陸の海の幸を原料に製造加工した商品を、「日高見の国」ブランドとして販売しています。「生産者が心を込めて育てた新鮮な牡蠣を、さらに美味しく加工して、全国の皆様に広めていくことを使命」とし、三陸の美味しさをまるごと食卓に届けるような製品を作り出しています。

▲企画室室長・古藤野靖さん


震災を越えて

2011年におきた大震災では、本社と工場が半壊し、取り壊しを余儀なくされました。現在は新設されたHACCP認定工場で、安心・安全な商品作りに取り組んでいます。

商品ラインナップ

*商品のお求めは日本名門酒会加盟の酒販店まで。

商品についてのお問い合わせはこちらから

炙り牡蠣(あぶりがき)

牡蠣から染み出る潮だけで適度に加熱する、漁師直伝の潮煮(うしおに)製法で作った「牡蠣の潮煮」を適度に炙り、さらに旨味を凝縮してしっかりとした味わいに。酒の肴にピッタリ!


牡蛎味噌(かきみそ)

牡蠣たっぷりの石巻伝統料理。炙り牡蠣を刻み、仙台味噌などと練り合わせた舐め味噌。

製法
(1)潮煮にした極上の牡蠣を遠赤外線で炙って旨味を凝縮
(2)食感が残るくらいに刻みます
(3)地元の味噌屋さんが作る無添加仙台味噌などの調味料と合わせ、火を入れながら銅鍋で練り合わせます
(4)仕上げに牡蠣から染み出た潮を加えていきます。
*この(3)の火の入れ方が職人技。同じレシピでも、火の入れ方ひとつで味が変わってしまいます。


 
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